現在、中東情勢(特にイラン情勢)の緊迫化により、シンナーの原料となる石油化学製品の供給が世界的に不安定になっています。
特に2026年2月末に発生した軍事衝突以降、物流の要であるホルムズ海峡が事実上の封鎖状態にあることが決定的な打撃となっています。
塗装業界に入り始めてからシンナーが手に入らない状況はいっさい無く、今回のことで業界内では大きな事件扱いとなっております。
塗料販売店では在庫のシンナーがある限りは販売を続けるようですが、注文をしているシンナーがいつ入荷するかわからない状況のようです。
その為シンナーの価格が大幅に上がっており、各塗装業者は大打撃を受けております。
現状、猪俣塗装はそこまで影響を受けておりませんが、今後何ヶ月もこの状況が続くようですと、さすがに影響を受けます。
なぜシンナーが必要かと言いますと
塗料には大きく分けて
「水性」
「油性(溶剤系)」
がありますが、シンナーが必要なのは主に油性塗料です。
油性塗料におけるシンナーの役割は主に
「塗りやすくするため」
「塗膜の品質を安定させるため」
の2点に集約されます。
一言でいうと、シンナーは塗料を使いやすい状態に整え、役目を終えたら蒸発して消える「名脇役」のような存在です。
1. 粘度を調整して「塗りやすくする」
缶に入ったままの塗料は、ドロドロとしていて非常に粘度が高い状態です。そのままではハケやローラーが進まず、厚塗りの原因になったり、ムラができたりします。
• 作業性の向上: シンナーを適切な量混ぜることで、サラサラとした質感になり、スムーズに塗り広げられるようになります。
• 仕上がりの美しさ: 粘度が適切だと、塗った後の表面が滑らかに整う「レベリング」という現象が起き、ハケ目が目立たない綺麗な仕上がりになります。
2. 塗膜を「密着させる」
シンナーには、下地(塗装面)をわずかに溶かしたり、表面の細かな凹凸に入り込ませたりする性質があります。
• 食いつきの向上: 溶剤が下地になじむことで、塗料がしっかりと食いつき、剥がれにくい丈夫な塗膜が作られます。
3. 乾燥速度を「コントロールする」
季節や天候(気温・湿度)によって、塗料が乾くスピードを調整するために使い分けられます。
• 夏場: 乾きが早すぎると塗っている最中に固まってしまうため、蒸発が遅いシンナーを使います。
• 冬場: 逆に乾きが遅すぎると液だれの原因になるため、蒸発が早いシンナーを使って乾燥を早めます。
油性塗料は主に、屋根、鉄部、床、木部に使われます。
以上のことから塗装業者にとってシンナーは必需品なのです。
遠い国々の出来事のように感じられますが、私たちの身近な資材にもその影響が及んでいます。
一刻も早く国際情勢が和らぎ、誰もが安心して仕事に打ち込める日々が訪れることを切に願っています。
限られた資材を大切に使いながら、今できる最善の施工を続けてまいります。
供給が不安定な時期だからこそ、お客様への丁寧な説明と、正確な情報発信を心がけていきたいと考えています。


